皆さん、お歯黒って知ってますよね?
実際に見たことがあるという人は少ないでしょうが時代劇などで見たことがあるという人は多いかと思います。
そう、あの歯につける黒い液体のことです。
あれを付けると何とも不気味な形相になるので一度見たことがある人はなかなか忘れないでしょう。
そんなお歯黒ですがどのように作られてどんなもので出来ているのかといったようなことをしていますか?
おそらくそこまでは知らないという人がほとんどでしょう。
そこで今回はお歯黒の作り方や材料について書いてみました。
今回のお届け内容は↓
- お歯黒の原材料は?
- お歯黒の作り方は?
- お歯黒をする意味は?
となっています。
それでは発送開始!
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お歯黒の原材料は?
まずはお歯黒の原材料についてです。
お歯黒ですから黒い何かでできているような気がしますがそれが何なのかというのはわからない人も多いでしょう。
お歯黒が黒いのは染料によるものなのですがその染料は鉄漿というものです。
この染料の主成分は鉄漿水という酢酸に鉄を溶かした茶褐色の液体。
ちなみにこれは「かねみず」と読みます。
ちなみに酢酸に鉄を溶かした液体を科学的に言うと酢酸鉄という物質で酢酸第一鉄とも呼ばれます。
お歯黒の他に媒染剤としても使われることがあるようです。
少し話が逸れましたが今説明をしていた鉄漿を歯に塗った後に五倍子粉というものを上塗りしていきます。
この五倍子粉というのは五倍子を乾燥させて粉末状にしたもののこと。
ちなみに五倍子というのはヌルデという植物の葉に虫が寄生した際に出来る大きな虫こぶのこと。
これにはタンニンが多く含まれていたために皮なめしや染料として使われました。
このタンニンは酢酸第一鉄と結合することによって非水溶性へと変化し共に黒変します。
ここに至るまでは黒色ではなく鉄漿水からの茶褐色なのですが最後にやっと黒くなるのです。
そのためお歯黒というと黒い何かでできているような気がしますが実際には黒いものが材料にあるのではありません。
化学反応によって最終段階でやっと真っ黒に変わるのです。
お歯黒の作り方は?
続いてはお歯黒の作り方についてです。
お歯黒は先ほども書いたように、
- 鉄漿という染液
- 五倍子粉と呼ばれる粉
からでできています。
ここではそれぞれの作り方を紹介しますね。
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鉄漿の作り方
まずは鉄漿の作りかたです。
これは先ほども書いたように主成分は鉄漿水でそれは酢酸に鉄を溶かすことによって作られます。
このように書くと何やら難しく見えるので簡単には作れないように思うかもしれません。
しかしながら、酢酸というのはお酢の主成分のことで鉄は皆さんが知っている鉄のことです。
なので、鉄をお酢に入れれば鉄漿水を作ることが出来るということ。
このようにこちらは作り方がとても簡単なので家庭で自作されることも多くありました。
ちなみに現代になってからポーラ文化研究所によって「和漢三才図会」という大坂の医師であった寺島良安により江戸時代中期に編纂された百科事典をを参考にしたお歯黒の再現実験が行われています。
その際には、
- 酒
- 酢
- 米糠
といったようなものを混ぜた水が使われました。
その液体に古釘などを入れて半年放置して作られたようです。
五倍子粉の作り方
続いては五倍子粉の作り方です。
こちらは先ほどとは違って自作することは難しく商品としての流通が一般的でした。
ちなみにこの粉には先ほども書いたようにヌルデという植物が使われました。
ヌルデという植物を知らない人も多いかと思うので簡単にまとめておきますね↓
- ウルシ科ヌルデ属の落葉高木
- 樹高は5-6mほどの小高木
- ウルシほどではないがまれにかぶれることがある
この植物は虫に寄生されることによって虫こぶというものが作られます。
これを乾燥させて粉末状にしたのものこそが五倍子粉なのです。
先程の鉄漿水と違ってこちらは材料の調達が大変なので家庭で作るのが困難だったのでしょうね。
ちなみにこの五倍子粉はお歯黒以外にも腫れ物、歯痛に効く生薬としても利用されていたようです。
また、木の部分は色が白く材質が柔らかいという特徴があったので、
- 木彫の材料
- 木札
- 木箱
などに使われていたのだとか。
あまり知られていない植物ではありますがこのように昔は欠かせない植物であったのです。
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お歯黒をする意味は?
最後はお歯黒をする意味についてです。
お歯黒には歯を目立たなくさせ顔つきを柔和に見せるという効果があります。
言ってみれば化粧の一種といったところでしょうか。
昔は歯科衛生が整ってはいなかったため歯並びが悪かったり変色していたりしました。
そういったこともあり、その歯を隠すためにお歯黒で歯を隠していたのです。
また、戦国時代には戦国武将の息女へ成年の印としても使われていました。
そして驚きなのは女性だけではなく男性もお歯黒を付けることがあったということ。
そういったことをするのは主に戦国武将でいつ首を打たれても見苦しくないようにといったような意味があったようです。
しかしながらそれだけではなく、
- 口臭の予防
- 虫歯の予防
- 歯周病の予防
といった実用的な目的もありました。
ただ、西洋などではこれを悪慣習としてみなされることも少なくありませんでした。
確かに今の私たちから見てもなかなか受け入れがたい風習ですよね。
それに対して歴史社会学者の渡辺京二はお歯黒は年齢階梯制の表現であり仕事に献身することへの証というように著書の「逝きし世の面影」で考察しています。
お歯黒には美容目的や健康目的以外にもこういった奥が深い意味も含まれているのです。
ちなみにその書籍は現在でも入手することが出来ます↓
平凡社から出版されており、
昭和を問うなら開国を問え。そのためには開国以前の文明を問え……。幕末から明治に日本を訪れた、異邦人による訪日記を読破。日本近代が失ったものの意味を根本から問い直した超大作。
出典先:https://www.heibonsha.co.jp/book/b160743.html
といったような説明がなされていました。
興味がある人は是非読んでみてください。
日本の文化に対しての考えが変わるかと思います。
まとめ
今回はお歯黒についていろいろと書いてみました。
お歯黒についての情報はあまり知る機会がない人も多いでしょうから今回知ることができて面白かったのではないでしょうか。
あまり役に立つ情報でもないですが話のタネにでも使ってくれれば光栄です。
今回はここまで。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。